大根のおろし器を選ぶ際、見た目や手入れのしやすさはもちろんですが「おろしやすさ」が断トツで重要視されています。
大根一本をおろすにも、力の弱い女性には結構な重労働。「力を入れずに手早くおろせる大根おろし器がないか」という声を聞くことが増え、様々なタイプの大根おろし器を買い集めて試してみました。
プラスチックやアルミは軽くて扱いやすいうえに、値段も手ごろ。でも、すぐに歯が折れてしまったり、変形したりと耐久性が低いのがデメリット。大根おろしの仕上がりはきめ細かいが、べちゃっとなりやすい。
ステンレス製や銅製のものは、見た目も美しいうえに耐久性に優れており使い方によっては一生ものになり得るほどの価値のある道具。しかしながらお値段が高価なものが多いというのが難点。
それぞれに一長一短があり、なかなか納得のいくものに出会えず。このようにたくさんの道具ですりおろしを試しながら気づいた点をあげていき、大根おろし器に必要な要素をまとめてみました。
すりおろしやすさ
冒頭にもあったように
「力をいれずに簡単にすりおろせる」
というのは重要ポイント。
耐久性
大根の硬さやすりおろす力に
負けない強度の必要性。
仕上がり
ふんわりとした食感や風味を残したい。
この3つのバランスを目指して開発に取り組むことにしました。
まずひとつ目の「おろしやすさ」について。おろしにくい=力を入れる、手動でも、力を入れずに簡単にすりおろされている状態がベストであるならば「おろし部分を鋭角にすれば、すりやすくなるはずでは?」と仮説を立ててみる。
鋭利な先端といえば、針、針金、画びょうetc…「そうだ、釘はどうだろうか!」この突飛な思いつきから、釘の鋭利な先端を活かした原型の制作から開始しました。
先端は鋭利であっても強度は必須。一般的に細い箇所は強度が弱いとされる陶器。そこは石を砕いた磁器土を独自にブレンドした原料を使う事により充分な強度を保つことができました。そして釘の先端から付け根にかけての形状を円錐にすることで折れにくくなりすりやすさと強度を兼ね備えた完璧な目立てが完成したのです。
すりおろしやすさと耐久性をクリアし最終「仕上がり」に着手。
陶器は熱を伝えにくい特製をもっているため大根をおろす時の摩擦熱が伝わりにくくシャキシャキのままおろせます。その仕上がりは水分量も少なくふんわり感を保ったままの状態です。
そしておろし部分の穴も、ベストな数を模索しました。少なすぎると一度におろせる量が減り増やしすぎると逆にすりあがりの出来が悪くなり試行錯誤の末、現在の〇個の穴に辿り着きました。さらに見た目も重視したデザイン性も考え形状を考案。道具でありながら器としても使えるすりおろした受け皿はそのままテーブルに出せるというセールスポイントもあります。
そしてこの3つのポイントをクリアし現在の商品が完成したのです